Laravel『Syntax Error or Access Violation』の原因と対処法

Laravel『Syntax Error or Access Violation』の原因と対処法

Laravelで表示される「Syntax error or access violation」は、アプリ側のPHP構文エラーではなく、ほとんどの場合“DB(MySQL/PostgreSQLなど)から返ってきたSQLエラー”をPDO/Doctrine経由で受け取っている状態。実際の原因は、SQL文法の誤り、予約語や識別子の扱いミス、カラム型や照合順序の不一致、外部キー制約、権限不足、ビュー/テーブルの定義不整合などにある。Laravel側では「どのSQLが投げられたか」「DBが返したエラーコード/メッセージは何か」を特定し、SQL・マイグレーション・スキーマ差分・接続先環境のズレを潰すことで解決できる。

エラーの出方(典型例)と発生条件

例外メッセージは環境で少し変わるが、概ね次の形になる。

SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1064 You have an error in your SQL syntax
SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1142 SELECT command denied to user
SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1055 Expression #1 of SELECT list is not in GROUP BY clause
SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1066 Not unique table/alias
SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1103 Incorrect table name

発生条件の典型:
・DBに投げたSQLの文法が誤っている(生SQL、クエリビルダ組み立てミス)
・DBユーザーに権限がない(SELECT/INSERT/ALTERなど)
・SQLモード/設定差(MySQLのONLY_FULL_GROUP_BYなど)で本番だけ落ちる
・予約語(order, group, rankなど)をカラム名/テーブル名に使っている
・別DBに接続していてスキーマが違う(テーブル/カラムが無い)

最初にやること:SQL全文とバインド値を特定する

原因はSQL側にあるので、Laravelが実際に投げたSQLを特定するのが最優先。
・例外メッセージにSQLが含まれている場合はそれをコピー
・含まれない場合はクエリログで確認する

// AppServiceProvider::boot などで一時的に有効化
use Illuminate\Support\Facades\DB;

DB::listen(function ($query) {
    logger()->debug('sql', [
        'sql' => $query->sql,
        'bindings' => $query->bindings,
        'time_ms' => $query->time,
    ]);
});

本番では出しっぱなしにしない(ログ肥大や情報漏えいのリスク)。再現できたら戻す。
「どのSQLで落ちているか」が分かれば、以降はDB側のメッセージ(1064/1142/1055など)に合わせて修正できる。

原因1:SQL文法ミス(生SQL・クエリ生成ミス)

生SQL(DB::select, DB::statement)でタイポや予約語、括弧不足があると 1064 などになる。

// NG: 予約語を未エスケープ + カンマ抜け
DB::select("SELECT id, order FROM users WHERE status = ?", ['active']);

対処:
・予約語は識別子としてクオート(MySQLなら 、PostgreSQLなら ” “)
・カラム名/テーブル名は可能なら予約語を避ける

// OK(MySQLの例)
DB::select("SELECT id, `order` FROM users WHERE status = ?", ['active']);

クエリビルダを使って識別子の扱いをDBに任せるのも事故が減る。

$rows = DB::table('users')
    ->select(['id', DB::raw('`order`')])
    ->where('status', 'active')
    ->get();

(DB方言差が出るので、予約語カラムはそもそも命名を変えるのが最強)

原因2:権限不足(access violation / 1142 / 1044 など)

「access violation」は“権限がない”ケースでも出る。ローカルはroot相当で動いて本番だけ落ちる典型。

SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1142 SELECT command denied to user

対処:
・接続先DBと接続ユーザーを確認(.envのDB_*)
・該当操作(SELECT/INSERT/UPDATE/ALTER/CREATEなど)に必要な権限を付与
Laravel側でできるのは「接続先の確認」と「実行しているSQLの把握」。権限調整はDB管理側で対応する。
環境差チェック(接続先を誤っているケースも多い)。

# .env の例(本番・ステージングで混在しやすい)
DB_CONNECTION=mysql
DB_HOST=...
DB_DATABASE=...
DB_USERNAME=...

原因3:SQLモード/DB設定差で本番だけ落ちる(ONLY_FULL_GROUP_BYなど)

MySQLでよくあるのが、ローカルでは通るGROUP BYが、本番のSQLモードで弾かれるパターン。

SQLSTATE[42000]: Syntax error or access violation: 1055 Expression #1 of SELECT list is not in GROUP BY clause

発生条件:
・GROUP BY しているのに、SELECTに集計されていないカラムが混ざっている
対処:
・SELECTの非集計カラムをGROUP BYに追加する
・または集計関数(MAX/MINなど)で意味を明確にする
NG/OK例。

// NG(MySQLのONLY_FULL_GROUP_BYで落ちやすい)
DB::table('orders')
  ->select('user_id', 'status', DB::raw('COUNT(*) as cnt'))
  ->groupBy('user_id')
  ->get();

// OK(statusもGROUP BYに入れる)
DB::table('orders')
  ->select('user_id', 'status', DB::raw('COUNT(*) as cnt'))
  ->groupBy('user_id', 'status')
  ->get();

// OK(statusは代表値として集計)
DB::table('orders')
  ->select('user_id', DB::raw('MAX(status) as status'), DB::raw('COUNT(*) as cnt'))
  ->groupBy('user_id')
  ->get();

設定を緩めるより、SQLの意味を明確にして通す方が安全。

原因4:予約語・識別子の問題(テーブル/カラム名がDBで解釈される)

「Syntax error」に見えるが、実は予約語が原因でSQLが壊れているケース。
例:order, group, rank, key, user など。
対処:
・予約語を避けた命名(推奨)
・やむを得ない場合はDB方言に合わせたクオート
・クエリビルダでも raw を混ぜると崩れるので、rawを最小化
マイグレーション時点で命名を避ける例。

// 例:order は避けて sort_order などにする
$table->integer('sort_order');

原因5:スキーマ差分(本番にカラム/テーブルが無い、マイグレーション未適用)

Laravel側は同じコードでも、DBスキーマが違うとSQLが成立しない。結果として 42xxx 系で出る場合がある。
典型:
・本番で migration が走っていない
・接続先DBを間違えていて古いスキーマを見ている
対処:
・現在の接続先でテーブル/カラムが存在するか確認
・マイグレーション状態を確認し、未適用なら適用

php artisan migrate:status
php artisan migrate

ただし本番運用では、メンテナンス時間やバックアップ、ロールバック方針を含めて慎重に実施する。

サンプル:例外時にSQLとコード位置を素早く追う(ログ)

再現が難しい場合は、例外時にSQLSTATEとメッセージを記録しておくと切り分けが速い。

try {
    // 何らかのDB処理
    $rows = DB::select('SELECT ...');
} catch (\Illuminate\Database\QueryException $e) {
    logger()->error('db error', [
        'sql' => $e->getSql(),
        'bindings' => $e->getBindings(),
        'message' => $e->getMessage(),
        'code' => $e->getCode(),
    ]);
    throw $e;
}

「sql + bindings + code」を残せると、DB側で同じクエリを再実行して原因を特定しやすい。

チェックリスト(上から順に確認する)

1) 例外メッセージのSQLSTATEとDBエラー番号(1064/1142/1055など)を確認したか
2) 実際に投げられたSQL全文とbindingsを特定したか(DB::listen / QueryExceptionログ)
3) 生SQLなら予約語やクオート、カンマ/括弧/WHERE句のタイポを確認したか
4) 権限不足の可能性があれば、接続ユーザーと許可(SELECT/INSERT/ALTER等)を確認したか
5) 本番だけならSQLモード差(ONLY_FULL_GROUP_BY等)やDB設定差を疑ったか
6) テーブル/カラム/インデックスが本番DBに存在するか、migration未適用がないか確認したか
7) 接続先DBが想定どおりか(DB_HOST/DB_DATABASE/DB_USERNAME)を確認したか