RHEL移行でハマる前に知っておきたい! 互換性トラップと回避策

RHEL移行でハマる前に知っておきたい! 互換性トラップと回避策

RHELへの移行では、互換性の問題が予期せぬトラブルを引き起こすことがあります。本記事では、主要なトラップとその回避策について、移行時のポイントを具体的に整理しています。

1. 旧バージョンのライブラリ依存問題

移行時に使用中のアプリケーションが特定の旧バージョンライブラリに依存している場合があります。

yum list installed | grep 'lib_name'
ldd /path/to/application

コンテナ化や互換性パッケージの利用を検討してください。

2. systemdへの移行での落とし穴

RHELでは従来のSysVinitからsystemdに完全移行しています。これにより、古いスクリプトが動作しないことがあります。

systemctl list-unit-files | grep 'サービス名'
cat /usr/lib/systemd/system/サービス名.service

新しいサービスファイルを作成し、systemdに対応する形式で設定を記述してください。

3. ファイルシステムの違い

Ext4やXFSなど、利用するファイルシステムの違いがパフォーマンスや互換性に影響を及ぼす場合があります。

blkid
mount | grep 'ファイルシステム名'

事前にファイルシステムの選定とマウントオプションの確認を行うことで、トラブルを回避できます。

4. SELinuxのポリシー設定

RHELではSELinuxがデフォルトで有効化されており、アクセス制御ポリシーの違いによりアプリケーションが動作しない場合があります。

getenforce
semanage fcontext -l
restorecon -v /path/to/file

必要に応じてポリシーを調整し、ログを確認してください。

5. ネットワーク設定の相違点

ネットワーク設定では、RHEL特有のnmcliの使用が求められる場合があります。

nmcli connection show
nmcli device modify <デバイス名> <設定項目>=<値>

移行前にネットワークスクリプトからnmcli形式への変換を実施してください。

6. パッケージ管理の変更点

従来のrpmパッケージ管理に加えて、dnfが採用されています。

dnf history list
dnf provides <ファイル名>

特定のパッケージ依存関係を確認し、不足がないか検証してください。

7. カーネルモジュールの非互換性

カーネルバージョンの変更に伴い、古いモジュールが動作しなくなることがあります。

modinfo <モジュール名>
lsmod | grep 'モジュール名'

対応ドライバが公式リポジトリに含まれているか確認してください。

9. アーカイブ形式のサポート

tarやgzip以外に、xzやzstdなど新しい形式のサポートも進んでいます。

tar --help | grep 'サポート形式'
xz --version

アーカイブ操作が適切に行えるか事前に試行してください。

10. デフォルトシェルの変化

bash以外のzshやdashがデフォルトシェルとして採用されている場合、スクリプトが動作しないことがあります。

cat /etc/shells
echo $SHELL

スクリプトの記述に互換性のある構文を用いる必要があります。

11. ログシステムの変更

RHELではrsyslogからjournalctlが推奨されています。

journalctl --since "24 hours ago"
rsyslogd -n

ログ管理方法を統一し、重要なログが失われないように設定してください。

12. デフォルトユーザー設定の違い

新しいRHELバージョンでは、ユーザー権限やデフォルト設定が異なる場合があります。

cat /etc/login.defs
getent passwd <ユーザー名>

システム全体のポリシーが望ましい状態か確認してください。

まとめ

RHEL移行では、事前にトラップを把握し、適切な回避策を実施することで円滑な運用を確保できます。各ポイントを確認し、計画的な移行を心がけてください。