PHPのエラー『Warning: Unknown: Cannot Allocate Memory for Pool』の解決方法

PHPで「Warning: Unknown: Cannot Allocate Memory for Pool」という警告が発生する場合、サーバーのメモリ管理に問題がある可能性が高い。このエラーは、PHP-FPM（FastCGI Process Manager）を使用している環境で特によく発生し、メモリ割り当ての失敗によって引き起こされる。本記事では、エラーの原因、発生条件、具体的な解決方法について詳しく説明する。

1. エラーの発生条件

このエラーは、PHP-FPMのメモリプールの割り当てができなくなったときに発生する。発生する主な条件は以下の通り。

• サーバーのメモリが不足している
• PHP-FPMの設定が適切でない
• ApacheやNginxのプロセスがメモリを大量に消費している
• スワップ領域が不足している

2. 現在のメモリ使用状況を確認する

まず、サーバーのメモリ使用状況を確認する。

free -m

`free` コマンドの出力で、使用可能なメモリ量とスワップ領域をチェックする。もしメモリが枯渇している場合、スワップ領域を増やすことで解決できる可能性がある。

3. スワップ領域を追加する

メモリ不足の場合、スワップ領域を追加することで解決できる。

sudo fallocate -l 1G /swapfile
sudo chmod 600 /swapfile
sudo mkswap /swapfile
sudo swapon /swapfile

この設定を永続化するには、`/etc/fstab` に次の行を追加する。

/swapfile none swap sw 0 0

4. PHP-FPMの設定を調整する

PHP-FPMのメモリ管理設定が適切でない場合、エラーが発生する可能性がある。`/etc/php-fpm.d/www.conf` を編集し、以下のパラメータを調整する。

pm = dynamic
pm.max_children = 50
pm.start_servers = 5
pm.min_spare_servers = 5
pm.max_spare_servers = 10

変更を適用するには、PHP-FPMを再起動する。

sudo systemctl restart php-fpm

5. ApacheまたはNginxのプロセス数を調整する

ApacheやNginxのプロセス数が多すぎると、メモリ不足を引き起こす可能性がある。Apacheを使用している場合、`/etc/httpd/conf/httpd.conf` の `MaxRequestWorkers` を適切に設定する。

MaxRequestWorkers 150

Nginxの場合、`worker_processes` の値を適切に調整する。

worker_processes auto;

6. PHPのメモリ制限を増やす

PHPの `memory_limit` を増やすことで、メモリ割り当ての問題を回避できる可能性がある。`php.ini` を編集し、以下のように設定する。

memory_limit = 512M

変更後、PHP-FPMを再起動する。

sudo systemctl restart php-fpm

7. 使用していないプロセスを停止する

メモリを圧迫している不要なプロセスを特定し、停止することで解決できる場合がある。メモリ使用状況を確認するには、次のコマンドを使用する。

ps aux --sort=-%mem | head -n 20

不要なプロセスを停止するには、`kill` コマンドを使用する。

sudo kill -9 <PID>

8. OSのヒュージページ設定を無効化する

一部のLinuxディストリビューションでは、Transparent Huge Pages (THP) の影響でメモリ割り当てが失敗することがある。THPを無効化するには、以下のコマンドを実行する。

echo never | sudo tee /sys/kernel/mm/transparent_hugepage/enabled
echo never | sudo tee /sys/kernel/mm/transparent_hugepage/defrag

9. サーバーのメモリアップグレードを検討する

もし物理メモリが少なすぎる場合、サーバーのメモリを増設するか、より多くのメモリを搭載したサーバープランに移行するのが有効な対策となる。

10. 再起動でエラーが解決するか確認する

すべての設定を変更した後、サーバーを再起動し、エラーが解消されたかを確認する。

sudo reboot

再起動後に再度 `free -m` を実行し、メモリ状況を確認する。