Red Hat Enterprise Linuxでのシステムリソースの最適化 – ユーザー別のCPU使用率の管理
この記事では、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)環境におけるユーザーごとのCPU使用率を監視・制御することで、システムリソースを最適化する方法を説明します。ユーザー単位でのリソース管理は、システムの安定性向上や効率的なリソース配分に役立ちます。
1. システム全体のCPU使用率の確認
まず、topやhtopコマンドを使用してシステム全体のCPU使用状況を把握します。これにより、ユーザーごとのCPU負荷を調べる前に、どの程度のリソースが使用されているかを確認できます。
# topコマンドの実行
top
# htopコマンドの実行(インストールが必要)
htop2. ユーザー別CPU使用率の確認
psコマンドを使って、ユーザーごとのプロセスとCPU使用率を確認します。
# 各ユーザーのCPU使用率を表示
ps -eo user,pcpu,comm --sort=-pcpu | head3. 高負荷のユーザー特定
psコマンドやtopコマンドの出力を分析し、特定のユーザーによるCPU使用が高いプロセスを特定します。リソースを大量に消費しているユーザーを確認することで、調整の対象が明確になります。
4. cgroupsによるCPUリソース制限
cgroupsを利用することで、特定のユーザーやプロセスのCPU使用量を制限できます。以下のコマンドでcgroupsを設定し、CPUの利用を制御します。
# ユーザーごとにCPU制限を設定
sudo cgcreate -g cpu:/user_limit
sudo cgset -r cpu.shares=512 user_limit5. cpulimitツールの使用
cpulimitを使用して特定のプロセスのCPU使用率を制限します。cpulimitは、特定のプロセスが使用するCPUリソースをパーセンテージで指定可能です。
# cpulimitでプロセスのCPU使用率を50%に制限
sudo cpulimit -p <プロセスID> -l 506. CPU使用率が高いプロセスの優先度変更
niceやreniceコマンドを使用して、プロセスの優先度を変更し、他のプロセスが優先的にCPUを利用できるようにします。
# 新規プロセスを優先度10で起動
nice -n 10 <コマンド>
# 実行中プロセスの優先度を変更
renice -n 10 -p <プロセスID>7. システム全体の負荷分散設定の確認
負荷分散設定を確認し、特定のユーザーやプロセスに対する優先度を調整することで、システムの全体的なパフォーマンスを向上させます。
# CPUコアごとの負荷状況を表示8. 高負荷プロセスの一時停止と再開
リソースを大量に消費しているプロセスを一時的に停止させ、システムの負荷を軽減する方法です。
# プロセスを一時停止
kill -STOP <プロセスID>
# プロセスを再開
kill -CONT <プロセスID>9. 自動化による負荷管理
負荷が一定以上になると自動的にプロセスを制御するスクリプトを設定し、定期的にリソース管理を実施します。
# 高負荷プロセスを自動検出し、アラートを生成するスクリプト例
while true; do
high_load=$(ps -eo pcpu,pid,user,cmd | awk '$1 > 80')
if [ -n "$high_load" ]; then
echo "高負荷プロセス検出: $high_load" | mail -s "CPUアラート" admin@example.com
fi
sleep 300
done10. systemd-runによるリソース制限付きのプロセス起動
systemd-runコマンドを使用すると、リソース制限付きのプロセスを起動できます。
# systemd-runを使用してCPU制限付きでプロセスを開始
systemd-run --scope -p CPUQuota=20% <コマンド>11. リアルタイムでのCPU使用率監視ツール
topやhtop以外にも、リアルタイムでのCPU使用率を確認できるツールを活用して、効率的に管理します。
# pidstatでユーザーごとのCPU使用率を確認
pidstat -u 112. CPU制御設定の永続化
リソース制限の設定を永続化させ、システム再起動後も同じ制限を適用できるようにします。
# /etc/cgconfig.confに設定を記載して永続化
echo "group user_limit { cpu { cpu.shares = 512; } }" | sudo tee -a /etc/cgconfig.conf
sudo systemctl enable cgconfigまとめ
Red Hat Enterprise Linuxでのユーザー別CPU使用率の管理を行うことで、システムの安定性とパフォーマンスを向上させることができます。適切なツールや方法を用いて、効率的にリソースを管理しましょう。
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